仏教ことわざ辞典
新しく開設したこのコーナーでは、仏教のことわざや仏教語を毎週ひとつ紹介していきます。日常よく使う言葉の由来がわかると新鮮な気持ちになったり、意味を知っていれば間違って使うこともなくなるのではないでしょうか。
過去60回にわたる仏教語を以下にすべて公開します。
足を洗う 大袈裟 金輪際 利益
玄関 しゃかりき 馬鹿 果報は寝て・・
袖すり合う・・ ひどい 親子は一世・・ 地獄の沙汰・・
八面六臂 嘘も方便 開眼 勘弁
畜生 不退転 阿吽の呼吸 人事
つっけんどん 上品・下品 引導を渡す 刹那
泥中の蓮 乞食 色の白いは・・ 子は三界の・・
内証 親の因果が・・ 無念 閻魔の色事
愛嬌 業突くばり 融通 仏も昔は人・・
一蓮托生 お陀仏 甘露 縁なき衆生・・
啖呵 人を見て法・・ 有相無相 極道
道化 煩悩 親玉 相伴
修羅 屠所の羊 女三界に・・ 旦那
お大黒 通達 提婆が悪も・・ 皮肉
ちゃら 妄執 頑張る 仏頂面
お盆

「お盆」とは古くは七月十五日を中心に行われていましたが、先祖に少しでも長くいてほしいという気持ちから、七月十三日から十六日(地方によっては十五日)までと期間が延びる様になりました。

明治時代に新暦が採用されて、七月が農繁期になってからは、一ヶ月遅らせてお盆を行う「月遅れ盆」が多くなりました。お盆の最初の日を「迎え盆」又は「お盆の入り」、最後の日を「送り盆」又は「お盆の明け」といいます。

「お盆の由来」
「お盆」は正式には「盂蘭盆会(うらぼんえ)」といい、インドの古い言葉で”逆さ吊りの苦痛”を意味するullam-banaに漢字を当てたもので、「盂蘭盆経」というお経に出てくる次の様な仏説に由来しています。

釈迦の高弟に目連は地獄に堕ちて飢えと渇きに苦しんでいる母を何とか助けようと、釈迦の教えに従って、多くの僧にいろいろなご馳走を供えたところ、地獄から母を救い出すことができた、といいます。

これにならい、我が家に祖先の霊を迎えて供養し、その高徳により、苦しみの世界から救い出し、浄土に送りかえす”お盆”の行事が生まれたといわれています。

 
「お盆の準備

お盆の間に先祖の霊をお迎えするために、家庭の仏壇や仏具を清め仏壇の前に精霊棚(しょうりょうだな)を設けます。

精霊棚とは、一般的には、仏壇の前に小机か台を置いて、真菰(まこも)のゴザを敷きます。その上に花や季節の野菜や果物、お菓子、故人の好物などを供えます。蓮の葉の上に少しの水をたらした「閼迦水(あかみず)」や、清水に刻んだナスと洗い米を浸した「水の子」も一緒に供えます。またキュウリでつくった馬と、ナスでつっくた牛を先祖の霊の乗り物にみたてて供えるところもあります。

現代では部屋が狭いことが多いので、精霊棚は設けずに、仏壇の中に供え物をする場合が多くなってきています。

 
「迎え盆」

迎え盆には、家族そろってお墓参りに行き、お墓を清掃して花や、迎えだんご、果物などをお供えします。

そして、先祖の霊が我が家までの道に迷うことがないように、迎え火をたき、目印となるようにします。

昔は、墓参りの際に墓で灯した火を提灯に移して家まで持ち帰りましたが、現在では、家の門で苧殻(おから)をたいて迎え火とすることが多くなりました。

 
「お盆中」

お盆の間は、「霊供膳(りょうぐぜん)」といって、朝・昼・晩と日に三回、仏壇(または精霊棚)に食事を供えます。

また、「棚経」といって、お盆中のいずれかの日に僧侶を招いてお経をあげてもらいます。

 
「送り盆」

お盆の明けには、お盆中にわが家にお迎えした先祖の霊が無事にあの世に戻れるように送り出す行事を行います。

各家庭では、お盆の最終日の夕方、迎え火と同じように門口で「送り火」をたきます。また、地方により、お供えした物を真菰(まこも)のゴザにくるんだり、小さな船に乗せて川や海に流す「精霊流し」や灯篭を作って流す「灯篭流し」を行うこともあります

しかし、最近では川や海に流すことが禁止されているところが多いので、お供え物などはまとめて菩提寺(ぼだいじ)に納めたり、送り火のときに燃やすことが多くなっています。

 
お彼岸

「お彼岸」とは春と秋にそれぞれ春分の日と秋分の日を中日として前後3日間の計7日間にわたって行われます。

正式には「彼岸会(ひがんえ)」といい、「彼岸」とは古いインドの言葉で「パーラミター(波羅蜜多)」を漢訳した「到彼岸」からきています。”迷いの世界”であるこの世「此岸(しがん)」から、”悟りの世界”であるあの世「彼岸」に至る、つまり、彼岸会とは悟りを開くために仏道に精進するという行事なのです。

ですからお彼岸には先祖をしのび、自分の今あることを先祖に感謝して供養し、自らも彼岸にわたることができるようにと精進するものとされています。

彼岸の入りには仏壇をきれいにし、花や果物、故人の好物などをお供えします。また彼岸だんごやおはぎ、五目ずしなどを仏壇や墓に供えたりもします。彼岸の中日には家族そろって墓参りに行きたいものです。

〜おはぎとぼたもちはどこが違うの?〜
お彼岸の供え物には、おはぎとぼたもちがつき物ですが、いったいどう違うのでしょう?つぶし餡かこし餡かの違いだとか、もち米とご飯の混ぜる割合の違いだとか、単なる呼び方の違いだとか…いろいろな説があるようです。

ところが実際には同じ物で、”ぼたもち”はもともと「牡丹(ぼたん)もち」”おはぎ”は「萩のもち」であったといわれます。

今では一年中売られていることもあって、混同されてしまいましたが、本来は、牡丹の季節である春のお彼岸に供えるのがぼたもちで、萩の季節である秋のお彼岸に供えるのがおはぎ、というわけです。

昔は砂糖も米もとっても貴重なものだったので、それを先祖に供えて供養し、多くの人に分け与えるということは、功徳を積むことでもあったのです。

 
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